校門で彼氏を待つ、なんて少女漫画の主人公みたいで気恥ずかしいけれど。

      みっちゃんを待っていると、とっても乙女な気分になるんです。

 

 

      お 疲 れ 様 の 後 で

 

 

      コンクリートと運動靴がすれる音。

      ざっざっざっざっ。

      ああこの音は絶対みっちゃんだ。

      私が待ってるって分かってるからいつも少し小走りで来てくれる。

      練習で疲れてるんだから歩いて来ていいよって言ってるのに

      言う事聞いたことなんか一度もない。

      足音がどんどん近付いて、いつも通りみっちゃんが後ろから現れた。

      「よう」

      眩しいくらいの電灯が斜め後ろから彼の湿った髪を照らした。

      今日も水道でシャワー浴びたんだな、きっと。

      「お疲れー」

      手ー繋いで帰ろうよって言ったら即効で拒否された。

      照れ屋だから仕方ないけど。

      今どきこんな奥手の人いるのかなってくらいみっちゃんは滅多に触ってこない。

      いたずらされることはよくあるけどいちゃいちゃな意味ではほんとに。

      自分に興味がないからかと思って不安になった事もある。

      でも本人曰く「大事にしてんだよ」らしい。

      その一言で安心してしまった私はなんて単純なんだろう。

 

      帰り道、みっちゃんはよくバスケ部の話をする。

      あまりにも楽しげに話す顔はきらきら輝いて格好良く見えちゃうからいけない。

      「ねえ、晴子ちゃんてマネージャーじゃないの?」

      「違う」

      「なんないの?」

      「さあ…。聞いた事ねえけどな」

      「なっちゃえばいいのにね」

      「何で」

      「美人マネージャーが増えるじゃない」

      「…あー」

      「私もバスケ部入ろうかなー」

      「はあ?」

      うーわ、あからさまに嫌な顔。

      「何、美人じゃないから駄目って?」

      「んな事言ってねえだろ!」

      じゃあどうゆう意味よ!

      って問い詰めるとみっちゃんは口を尖らせて眉間に皺を寄せた変な顔になった。

      何かぼそぼそ言っている。

      「聞こえなーい」

      「………だろ」

      「えー?」

      「お前が野郎の集団に入ってかなくてもいいだろ…」

      一瞬の間の後、思わず吹き出してしまった私。

      それを見たみっちゃんは口は笑ってたけど目は笑ってなくて、

      眉毛を不愉快そうにぴくぴくさせていた。

      「何が可笑しいんだよ」

      左腕にくっついて「やきもち?」と下から顔を覗くとむんずと鼻をつままれた。

      「あにしゅんのっ」

      「黙れ馬鹿野郎」

      抵抗してもつままれっぱなしでやっとこさ解放された。

      絶対鼻赤くなってる。

      女の子になんてことするんだ!

      不満げに鼻をさすっていると三歩程前にいたみっちゃんに「 」と呼ばれた。

      こっちは見ずに前を向いている。

      だけど大きな掌だけは後ろに出されていて、私は迷わずその手を取った。

      私より一回りか二回り大きいそれは少しだけ汗ばんでてそれがまた彼らしい、と思った。

 

      ・・・・・・・・・・・・・

      初みっちゃん!

      スラムダンクは名作ですよね…!

 

      2009.01.12

 


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