君 は 誰 ?
「空、」
好きだ。と言い終わるか否かのうちに私の口は塞がれる。
もう何度目か分からない。
まるで雨の様に降り注ぐキスは、どれも甘い。
壁時計の秒針の音が普段の数倍はっきりと聞こえる。
「んっ…」
口の中に何か熱い物が入ってきて一瞬ひるんだ。
私の身体は気持ち後退したけれど、
そんなことは全くお構い無しに太一のそれは追い掛けてきて私を絡み取った。
どんどん奥へと入り込んでくる。
熱くて、苦しい。
いつだったか観た洋画の、濃厚で激しいキスシーン。
ヒロインの姿を自分に置き換えるとどうしようもなく恥ずかしくなった。
背中に回された程好く太い腕に少し力が加わって、
私の身体は太一にぴったりとくっついた。
太一の鼓動が身体に響いてくる。
それは思ったよりも早いテンポで刻まれていた。
スカートの裾から指が滑り込みその感触に身体が思わずぴくりと動いてしまった。
合わせるように指もぴたりと止まる。
盗み見るように視線を上へとやると、太一とばっちり目が合った。
太一は笑ってもなく、もちろん怒ったり悲しんでもなくて、
その表情は私が今まで出会ったことのないものだった。
「やめるか?」
目の前にいるのは一人の男。
いつもの彼はいなかった。
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思春期ですから!
2009.01.08
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